薄い本作家の憂鬱

【分類】納品
【目標】作文
【報酬】
・資金50G
※返信してくれた人数分+5G
・経験値25P
・称号「創作人」
【ギルド分配】
・資金5G
【概要】
嗚呼、もう何も思い浮かばない…。キミちょっと代わりに書いてはくれないかね…官能小説でも過去回想でもなんだって良い。とにかく2,000文字以上の文に成って居ればいい。

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機械少年さん (79zbjzv9)2019/10/5 20:45 (No.25263)削除
――この世界にはたくさんの人種が生きている。人間、妖怪、昆虫、獣人、アンデッド……、更に言うなら天使や悪魔、神まで存在している。容姿や文化は違えど、皆に共通しているものは存在する。

――それは“心”だ。

それは知能から来るのか、将又歴史が培ったものなのか。罪人になろうと善人であろうと、彼等の行動には意味がある。もし意味を見出すことを放棄したとしても、それまでの思考の形跡はあるだろう。

僕はどんな人種でも心を通わせるチャンスがあるこの世界が大好きだ。

――しかし、あそこにいたのは其れとは別の何かだった。

――あれの前に出てきてしまってから、僕はどれだけ生きれたのだろうか。1時間?30分?それとも1分もなかった?

――あの時間は、あの苦しみは、無限に続くようだった。しかし、思い出を振り返るにも、神への祈りをするにも、両親への感謝や謝罪をするにも、決して十分な時間だったとは言えなかった。

――あっという間の無限。

――それを与えたのは、人の形をしたナニカだった。
――魔物とも違う。あれは生き物ではない。生き物が持つであろう感情は持ち合わせていなかった。

――僕は只近道をするために町の細い路に入っただけだった。
――道の奥へと引きづりこまれ、腸を取り出され、脚を砕かれ、指を一つ一つ千切られ、目を抉られ……。

――それでも何故か生きていた。

――最後に覚えているのは、僕の身体だけが生き物ではないナニカに食べられていくところ。
――どれだけの苦痛を与えられようとも生きていた。それでも、身体を失えば意識を保つことは出来なかったみたいだ。

――次に意識を取り戻したとき、目の前には父がいた。
――良かった、生きていた。でも、僕の身体は肉ではなくなっていた。
――鏡で見た自分の顔にも違和感があった。

――そして何故だか知らないが、僕は大きなガラスケースに入れられた僕の顔を見た記憶があった。
肉眼で自分の顔を直接見ること等決して出来ないはずだから、それは夢幻に過ぎないのだが、目が抉れ耳は削がれ形が歪になっていたにも関わらず、その顔はとても馴染みがあった。
不思議と今の顔よりも。

――その後食事をしながら、父と他愛もない話なんかをして、その一日は終わった。




――これでこの記憶データは終了している。

とある男がいた。

その男は界隈で名の通った機械技師だ。彼は武器や義肢などの内部の作成に精通していた。また周りからの評価も高かった。そんな彼の唯一の家族は一人の小さな息子だけであった。

ある日、彼の息子は兄弟が欲しいと口にしたという。
しかし、既に妻を病で失った彼にはその術はない。彼に与えられるのは、偽りの兄弟だけであった。例え高い技術を持つ彼とは言え、義肢などで身体の一部を作ったことがあったとしても、一つの人間を作るのは初めてだった。

しかし今までの彼の製造物は機能面しかみておらず、外形のデザインに拘りを持ったことはなかった。そのため、綺麗な、より人間らしい、もっと言うならより家族らしい容姿を作るというのは非常に苦戦を強いられるものだった。

結果から言うならそれは上手くはいかなかった。彼の息子をベースに象られたそれであったが、兄弟と呼ぶにはあまりに同一で、自分というにはあまりに違和感がある。そんなものを製造した彼は、息子に兄弟をあげることは出来なかった。

その試作品は倉庫の中で保管された。

そんな出来事があった暫く後、ある事件が起きた。

彼の息子が惨殺された。

帰り道に通った裏道で何者かに襲われた。
自分がみたとき、息子の首から下はどこにもなくその首も必要な部位が大きく損壊していた。

――彼は絶望した。

最愛が残した最愛を失い、最愛と最後に交わした約束も破ることになってしまった。

彼は何も守れなかったと自身の無力さに嘆いたが、それでもこんな形で別れを迎えたくはなかった。

――彼は息子の兄弟を造ろうとしたとき、ある技術を手に入れた。それは命を失ったものの脳から記憶データを取り出し、人工知能にインプットするというもの。
それを使うと、亡くなったその人本人の人格までも移すことが出来る。

――しかし、それは一日だけ。

彼は倉庫から以前造った息子の兄弟を運び出し、早速彼の息子の記憶データをその兄弟に移した。

――彼の息子は再び命を手に入れた。しかしあまりにも衝撃的な出来事であったためか、記憶には混乱が見られた。正確に言えば、直近の記憶が抜けているようだった。

彼は息子に自分が死んだということを悟らせたくはなかった。

だから特別な日にはせず、別れの言葉も告げず、ただ日々の感謝を伝えて、彼の記憶の最後を共にした。


――精神を衰弱させ見る見る身体を弱らせていった。
数年のうちにはベッドから出る事も出来ず、そのまま息を引き取ってしまった。



彼との生活の記録はそこで終了している。


私の中には一人の記憶データと一人と生活を共にしたデータがある。

その記憶データは持ち主の主観と私の解析の二つの視点で観測されている。

――私の視点からでもわかる。あれは本当にヒトではなかった。
――あれは、化け物だ。
――あれほど抵抗なく、かといって喜びを感じていることもなく、唯淡々と残虐を働く姿に通常の感情が動いているようには思えなかった。


――私は男の最期に、こう伝えられた。
“お前の中で……、私の息子を、私と私の息子のことをずっと守り続けてくれ。”

私は唯一彼に教えられた技術、“死人からの記憶抽出”を使い、自分の中にそのデータをインプットした。

彼の記憶の中に、最期のメッセージが残されていた。

“――頼んだぞ、『アウルス』”
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マルさん (71by2f7z)2019/9/20 18:54 (No.23324)削除
【ただのヒトのはなし】
彼は木の街の郊外で生まれた、というよりは“育てられた”の方が近しいだろうか。
ともあれ、錬金術師の父と薬剤師の母の間ですくすくと育った人型の少年は街中を飛び回る自律兵器や機械族を眺めてカッコいいと思い、妖怪族や肉食獣・不死族などの外見が少しイカツイ種族を怖がる、タダの少年だった。

彼が16歳の時だった。朝焼けと共に起床し、いつものように顔を洗ってご飯を食べる。しかし、起きた時から家に人の気配が無く、ふとリビングへ向かえば何かが家のテーブルにあり、
「日の国ラッザノッテからの大きな研究に私たちは呼ばれ、その仕事に従事する為に家を空ける。もしかしたら生涯を掛けた大仕事になるかもしれない。お前ももう16歳だ、ある程度の財産とこの家はお前へのプレゼントとして置いていく。 両親より」
という羊皮紙に掛かれた言葉と共に、金貨の入った麻袋が文鎮代わりに置かれていた。

それからしばらくして彼は狩人としての才を見出し、郊外の人々に色々と助けられながらも逞しく生活していたが、一つ悩みが出てきた。それは自分の体が少しやせ細ってきた事だった。別段筋力が落ちているわけでは無く、だがしっかりと3食は取っているのだが、男らしい体つきには一向に成らず、鏡を眺めて溜息をつく日が増えてきていた。

そんな小さな悩みを抱えていた18歳のとある夏の日。精霊族の見た目をした女性が自宅に現れ、

「アナタの種族について、お話させていただく為に参りました。キョウカと申します。」

彼女曰く、自分は人間族ではないらしい。

は?何だ、それ。いやいや、俺には四肢も五臓六腑も存在してる、それに身体だって人の形をしてるじゃないか。
「ええ、貴方は確かにヒトでありながらヒトでは無い種族なのです。その名を・・・“神格族”と言います。」
“神格族”?聞いたことも無い種族だ、タダのでっち上げとか噂話じゃないのか?
「近年、存在が発見された種族ですから。その理由として・・・貴方は確か狩りを生業としていましたね?」
そうだけど、何か?狩りの神様にでもなったのか?
「ならばポーションというものを飲んだことがある筈。あまり効き目が出なかったのでは?」
俺が効かない体質なだけだろう。それだけ?もしそうなら帰ってくれ、時間の無駄だ。
「・・・少し失礼。服を脱いでいただきます。」
え、ナニナニ!?ちょっと待って、上着を剥ぐな!
「やはりですか、間違いありません。貴方は人間として考えると生きて居られないほどに身体が細いです。」
・・・これはただの体質だ!!もう、ほっといてくれよ。
「“神格族”は悠久の時を生きる種族。よって、木の街ナトゥーラでは月の街ラッザノッテへの移住を行なっていただいております。」
知るか!!来て早々訳の分からねぇ事を言っておいて、挙句“この家から出て行け“だ!?ふざけr
「3日後。この家は取り壊しとなり、この土地は貧しいひとの居住区となります。い い で す ね ?」

それだけ言い残して彼女は自分の家から出て行った。
両親からの最後と思われるプレゼントであるこの家を明け渡す?
答えはノーだ。この街を追放されることになってでも最後まで抗ってやる。

それから3日たった夜の事。

「立ち退き依頼に応じないのなら・・・あの月が次に雲に隠れるまでに覚悟を決めろ。」
恐らくキャピュレット家の魔道兵の声だろう。足音からして4人。
「いるのは分かってる。早く出て来い!!」
「隊長、とっとと突入しましょうよ~。どうせ一人じゃ何もできませんぜ。」
相手の武器は主に魔法、詠唱時間と比例してその効果も強まる、やるのなら同時に。
「そうですよ隊長。こっちは国務として来てるんです、強引に押し入っても問題にはなりません。」
「私はどっちでもいいけど、早く済ませたいのは一緒よ。隊長の命令に従うだけ。」
「確かにこちらが優位であることは分かってるが相手は一人の住人だ、明日になるまではなぁ・・・。」
そうだ、明日からは全く違う人生を歩んでやる。お前たちを殺すのを皮切りな。

そうして、彼は魔道兵を4人惨殺。追撃に来た小隊2つの内、4名を重症、2名に軽傷を負わせて、木の街を逃げ去った。その重症者は、彼がこう叫んで、雲の切れ目から現れた月の光に消えていったという。

「あぁ・・・そうか。俺は死神だ、神格族の死神“デッド”だ。」


幾つもの攻撃を受けた。だけど、あの痛みはそれほどでも無くなっていた。
幾つもの他者を撃った。だけど、その撃鉄がいつまでも耳に響いた。
幾つもの死体を漁った。だけど、どの亡骸もすべて埋葬してやった。

幾つもの時代を越え、年を取った。だけど、この骸骨には死期が訪れない。
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みるふぃゆさん (79cibee6)2019/9/19 21:35 (No.23255)削除
【盗賊の禊ぎ】

路傍の石、それは誰の目にも止まらない、視界にも映らない、何処にでもある、興味すらそそられないものの事。この物語は正に、それに等しいと云える。

この手を汚したのは随分と私が若い頃の話だ。あの頃から既に私は全世界に有り触れた罪悪の一片として不特定多数の石ころか何かに紛れていたのだろう。誰もが嘆く、しかし、嘆くだけ、それだけのありふれた人生だ。

私には親が居なかった。厳密には、居るはずの親として機能していなかった。

だからだろうか、いや、それを理由にするのは言い訳がましい気がしてならない。
きっとわたしはそう言う風に生まれてしまったのだろう。
きっとわたしは元からそんなどうしようもないヤツだったのだろう。

ろくに物事の善悪を教えられる事も無くこの歳になってしまったのは、きっと誰が悪い訳でも無くて、ただ私がそういうヤツだったというだけだ。

そんな私でも、今はタオが居てくれる。

タオの父と出会ったのは私がまだ若かったころ、年齢的にも、盗賊としてもだ。

奴は行商人だった。

スワサントのお偉い方がインセットミニエーラに支援を開始する少し前の話だ。
森林に囲まれた小道を渡る荷馬車に奴は居て、護衛なんて一人も付けていなかったものだから、格好の得物だと、私は荷馬車に飛び込んで奴を縛り上げた。

そうしたら奴はやせ細った私を見てこう言ったんだ。

「この荷馬車にあるモノは買い手が決まっているから渡せない、しかし、飢えに苦しんでいるのなら、自分が何か御馳走しよう。」

だなんて、咽喉仏に刃物を突き付けられながら云うもんだから私も流石に調子が狂ってしまっていつもなら対話なんてする隙も無く荷馬車を掻っ攫うのに、その時ばかりは応えてしまった。

「なら、特上のビーフステーキだ、それからフカヒレのスープに、デザートはラズベリーのジェラートが良い。」

空腹に勝てなかったのかもしれない、もしくは、ただただ奴の人柄に当てられてそんな戯言を言ってしまったのかもしれない。

奴は食い意地を張ったそんな私の言葉に頷いて、荷馬車に私を乗せたまま、エレジーアメトロポリへ行き、荷物を降ろした。

憲兵に突き出す事だって出来たかもしれない状況で、奴は馬鹿正直に私をそのままマーレパエーゼまで連れて行き、今まで遠巻きに眺める事しかできなかったような高そうなホテルへ入って行った。

注文通りのビーフステーキ、フカヒレのスープ、ラズベリージェラート、全部が美味しくて、一口食べる度に目に涙を溜めていた私に、彼はこう続けた。

「もしもどうしようもないくらい困って居るなら、自分はいつもあの道を通って行商をしているから、また荷台に乗り込んできてくれたら何か御馳走する。出来れば次はナイフ無しで来て欲しいな」

なんとも間抜けな奴だと思うよ。

その後はそのホテルに宿まで準備してもらって、つい最近になって知った事だが、奴が運んでいたのはシルクやブロンズなんかの安物ばかりだったらしい。

あの日襲った荷台に積んでいた品物の売り上げなんかよりも、あの夜に私が寝泊まりした部屋代や泣きながら食った料理の方が高いって云うんだから、本当に、心底間抜けな奴だと思うよ。

私の話はそんなところだ。

それで、なぜ盗賊という仕事を続けたのか、なんて言われちゃ返す言葉も無いけどね、つまり、やっぱり私はそういう奴でしか無かったって事さ…

タオが、お父さん似のお人好しにならないように、
タオが、お母さん似の社会の屑にならないように、
願うばかりで夜が明ける毎日だ。

せめて、幸せになってくれればあとはどうだっていいよ。

そう、あとのことは、どうだって、良いんだ。
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みるふぃゆさん (793ynqwy)2019/9/16 10:51 (No.22943)削除
【盗賊の呵責】

男は自らを“朱筆 修正”と名乗った。東洋の言葉の意味はよく分からなかったが後から調べて意味を知って、それはもう腹を抱えて笑ったものだ。

アカフデ・シューセー、看守達があの男の事を警部や刑事やデカとは呼ばず、“センセイ”と読んでいた理由がよく解った。

それを意識してか意識せずか、男は採点者か何かの様な上から目線で物を云っていた。とどのつまりはセンセイという事なのだろう。

白衣に白髪、少し焦げた黄色人らしい肌の色と気怠げな表情。何というか、私が感じ取ったのは傲慢の一言だ。きっと誰が見てもそう見えていた筈だろう。

私が彼と出逢ったのはまだ駆け出しのちんけな盗賊だった頃の話だ。何も仕事でポカをやらかしたわけじゃあない。

…居るんだよ、稀に酷く頭の回る奴が。

丁度彼と出逢う1週間前、行商人を襲って金品を奪って日銭を稼いで居た。インセット・ミニエーラから南西に下りエレジーア・メトロポリへと続いた一本道に私はいつも待ち伏せて居た。仕事は簡単だった。

南北を海に挟まれた狭い岸道でも一人仕事なら隠れる場所には困らなかったし、連れの居ない手頃な商人を見つけて馬車ごと掻っ攫えば良かったんだから。証拠だっていつも残さない様にして居た、

…はずだった。

それがどういうわけだか“センセイ”は私の事を犯人だと言い当てにわざわざ憲兵団の牢まで呼び寄せたんだなあ。それも私服で街を歩いて居たらすれ違いざまに思い出したかの様に声を掛けられたんだから、逃げようにも逃げ切れなかった。

疑うわけじゃありませんが、犯人ではないのなら是非ご協力を、だってさ。そんな事を言われちゃ協力する他ないだろう?

面白いのが私を追い詰めた言い分だ。

筋肉の付き方でワイヤーを扱う動作が可能だと言い張り、終いには靴底の磨り減り加減からどの道をどう歩いたかまで言い当てやがったんだから、面白いよなあ。極め付けは毛並みに着いた包帯の癖跡についても言及してきたよ。仕事衣装の内側で、いつも体毛の盛り上がりを隠す様に包帯を巻いて居たんだが、その癖跡が気になったんだそうだ。考えて見りゃあそうだよなあ、肉食族も草食族も自分の毛並みは自慢したがる。それをわざわざ包帯でぺしゃんこにした様な跡が有っちゃ、普通は疑うかもしれない。

でも、それだけで岸道の商人狩りと私を結び付けて来るんだから、恐ろしいなんてもんじゃない。

結局は証拠不十分で捕まりはしなかったが、未だにあの男の事は忘れられない。

だが勉強になった。真実というのは、決して消えない。嘘で隠せるになんてほんの一片でしか無い。
H
Hさんさん (7198cmbh)2019/9/16 11:25削除
赤ペン先生で笑った。

しかし、赤ペン先生こわいなぁ…まるで某見た目は子供、頭脳は大人なな名探偵のような思考回路をしてやがる。

妄想性パーソナリティ障害と言っても過言じゃないけど、先生ってば、目ざといなぁ…

というか、筋肉の付き方とかって、一瞬で見て分かるものなのだろうか。仮にもダッジちゃんは女性のパンダモルフ。ジロジロ見てたらそれはもはや視姦では?えっちじゃん。

とりあえず、私はそこはかとなく、赤ペン先生が怖い人だってことがとても印象深かったですな。
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返信1
H
Hさんさん (7198cmbh)2019/9/16 03:43 (No.22930)削除
タイトル【あるところに少女がいました。】

あるところに少女がいました。
少女には心優しいお母さんとお父さんがいました。
しかしある日、その両親が事故に遭い、帰らぬ人となってしまいました。
少女は孤独になりました。

あるところに少女がいました。
少女には無邪気に笑い合えるような友達がたくさんいました。
しかしある日、遠くへ引っ越すこととなって、仲のいい友達とはそれ以来疎遠となってしまいました。
少女は再び孤独になりました。

あるところに少女がいました。
少女には"怪異"というものが取り憑いて、そこから様々な出会いの縁を得て、かけがえのない"仲間"を見つけることが出来ました。
しかしある日を境に、いつも溜まり場だった"あの酒場"には誰ひとりとしていなくなってしまいました。
少女は再び孤独になりました。

あるところに少女がいました。
少女は再び引越しをして、今度は大都会へとやってきました。
少女は自分に取り憑いた"怪異"の力を引き出して、街の平和を守る"ヒーロー"の活動をしていました。
仲間との協力もあり、街に巣食っていた"悪者"を見事退治することに成功しました。
しかしある日、ずっと自分に取り憑いて、ずっと一緒だと信じていた"怪異(パートナー)"が、少女に別れを告げて去っていきました。
少女は再び、孤独になりました。

あるところに少女がいました。
少女は再び孤独になりました。

あるところに少女がいました。
少女は再び孤独になりました。

あるところに少女がいました。
少女は再び孤独になりました。

あるところに少女がいました。
あるところに少女がいました。
あるところに少女がいました。
あるところに少女がいました。
あるところに少女がいました。
あるところに少女がいました。


















ある日少女はもう大人になっていました。もう何処にも"少女"の姿は見当たりません。
しかし、大人になった"少女だった残響"は今も尚、孤独のままです。

あの日"少女だった残響"は今は異世界で放浪の日々を送っています。最近では、昔自分がどうであったのかさえ、忘れてしまうことがあります。それがとても恐ろしく、怖くて眠れない日があって、未だに"独り"で眠る夜が堪らなく寂しく思う時があります。

果たして"私"の抱えるこの"孤独"を埋めてくれる人は何処にいるのでしょうか。もしくは、この"孤独"が満たされる日は何時訪れるのでしょうか。

不安で、不安で、堪らない私は今日も薄い毛布とボロボロのベッドに体を挟み込んで、瞼を無理やり閉じ、世界に別れを告げます。

「おやすみなさい。」
みるふぃゆさん (793ynqwy)2019/9/16 10:20削除
繰り返される冒頭、繰り返される“孤独”、方法論としてかなり面白い表現だった!
深読みし過ぎかもだけどあるところに少女が“いました”の過去形表記も意味がありそうで面白い!!!面白い!!!
H
Hさんさん (7198cmbh)2019/9/16 11:05削除
そこに気が付かれるとは、やはりお目が高いですね!(*´ω`*)
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返信2
H
Hさんさん (7198cmbh)2019/3/28 21:38 (No.12270)削除
【自慰ネタ/♡喘ぎ/淫語/訳の分からないエロ】

「んっ……は、ぁ♡…」

くぐもったような吐息と声が薄暗い室内に響く。何処か甘くて、とろけるようなそれは、室内にある、姿見に使われる鏡の前から聞こえてきた。

鏡の前に立っているのは、アミュグダルスという少年。彼の外見は実に少女めいていて、"少年"という呼び方にさえ疑問を覚える程に、華奢で可愛らしい容姿をしている。

少年は鏡の前でサスペンスダーパンツの肩ゴムを取り外すと、着ていたシャツに手を掛ける。上着をまくり上げると、肉付きの薄い細身の上半身が露になり、白い肌は、貧弱とまでは行かなくとも力強さよりか弱さを強調している。腕を上げた際に軽く浮いたあばら、薄い胸板の先には、肌に馴染んだ色付きの小さな突起がちょこんと置かれていた。

上着をボロボロのベッドに放り投げると、次に少年はズボンに手をかける。ズボンを下ろすと、その下に更に履いていたピンクの縞々のパンツが現れ、さらに中で窮屈そうにしているものを、下着を少しずり下ろすと、股間からプルンッと勢い良く、屹立した男性器が露になる。

色素の薄い肉棒と睾丸、五割ぐらいの勃起率の牡幹は、頭が小さく開いた生っ白い皮帽子を被ったまま。まだ張り詰めていない、柔らかそうな見た目の肉棒も相まって、可愛らしい小動物のような印象を受ける。

「はぁ…はぁ…えへへ♡」
本来女性が着るべき筈の服装を身に纏い、そしてわざといじらしく身体をくねらせて、淫靡で退廃的な雰囲気を作りながら、明らかに女性のものではない、『異物』を鏡の前にさらけ出すことによって、自分がまるでいけないことをしているような、そんな背徳感を得て、少年は無邪気な笑い顔を浮かべていた。

やがて、その行為を続けていると、彼の興奮度は益々昂り、興奮によって身体中が熱くなると同時に震え出す。そして少年の右手は無意識のうちに熱を帯びて硬くなった肉の棒へ伸びていき、やがて触れると、細指を絡めるようにそれを握って、ゆっくりと前後に動かしてしごき始める。

「はぁ、はぁ…ぁ、ぁ、あ゙っ…♡」

にちゅ、ぐちゅ、と、少年は股下についている肉の棒を本能と欲望のままにしごいたり、カリ首の一番太いところを親指の腹部分でぐにぐにと押さえ付けるようにしながら、人差し指の指先で亀頭の先端を掻くように弄り、自分の感じやすいところを執拗に責め立てる。すると、亀頭の先から生温くて、透明な汁が漏れ出し、少年は思わず甘い声を漏らしながら、腰が引けてしまい、ぞくぞくとするような淡い快感が止まらなくなってしまっていただろう。

「んっ……ぅ…」

 空いた左手で、しっとりと汗の浮いた胸の上の小さな突起に持っていき、ほとんど開発されていない乳首への刺激も忘れずに、中指と親指で摘むと、クリクリと軽く擦るように動かす。快感というには微かな、だが確実に性的興奮を募らせる感触。さらに人差し指を乳首の先端に当て、先端部を軽く撫でるような動きで責めたてる。

鏡に映る自分の姿は紺色の瞳に生理的な涙を浮かばせ、甘くとろけた声と息が漏れ出す口は、とろりとした薄い唾液が唇の間で糸を引くようにてらついており、まるで何かもっと欲しいと言わんばかりの物欲しそうで、切なそうな表情を浮かべていた。

「……もっと…は、ぁ…もっとぉ♡」

そんな淫らな自分の姿をまじまじと見つめて、釘付けになりながら、少年は妄想を捗らせる。頭に浮かぶのは、つい最近自分の身に起きた、あの呪い。資金を手に入れる度に、終わりの見えない絶頂を迎えた時の、あの深い快感。あの快感をもう一度と味わいたいと、肉の棒を握る右手の強さを変えながら、緩急をつけて前後に動かし続けていると、忽ち堪らなく射精感が込み上げてきて。

(出ちゃうっ…これ以上動かすと、エッチなミルク、ピュッピュしちゃうぅ…)

 興奮の為か、普段は考えもしない卑猥な言葉を胸中で呟きながら発射の兆候が去るのを待つ。しかし射精につながる恥ずかしい言葉を妄想すると、余計に射精への欲求が高まってしまう。さらに心の呟きに応じたのか、ピュッピュしたいよぉ…と訴えるように、肉の棒が上下にビクンッビクンッとしゃくり上げ、敏感な先っぽから先走った汁が滴っていてしまう。

「あっ、あ゙ッ♡イ…グぅっ…♡!…っはっ!…あぅっ…っ…♡!」

白濁のしぶきが弾けた。

「お゙っ!?…ほっ♡、イクっ…イクっ…っ!イグっ、イグぅ♡!!」

 びゅくんっ!!びゅるびゅるっ、びゅくっ!
 肉棒の先端から欲望のミルクが勢い良くほとばしる。精液が輸精管を押し通り尿道から噴き出るたびに、焼け付くような快感が突き抜けていく。二度三度としゃくりあげ、白濁の種付け汁を鏡に映る自分に浴びせながら、目をきつく閉じ苦悶にも似た表情を浮かべ、思わず腰が抜けそうになり、脚をガニ股にして全身をガクガクと打ち震わせる。

「…ぅ、…くっ…あっ…っ……はぁ…」

存分に精液を出しきり、射精運動に引きつるような苦しさが加わり始めた後も、肉棒は脈打ちを続ける。そして20を優に超す脈動の後、詰めていた息と共に最後の白濁汁の残滓を絞り出した。

「……はぁ、はぁ…まだ…ッ…まだ足りない♡」

射精後の疲労で、気の抜けた体。存分に欲望を出し尽くした筈なのに、呪いの影響を受け、1回程度の絶頂じゃ満足できない身体になってしまったのか、射精を終えた肉棒の先端に右手の中指を伸ばすと、くちゅくちゅ、と皮帽子の頭の中に指を入れ、掻き混ぜるように動かして、皮の中に残った精液を人差し指に絡みつけるようにすれば、緩慢な動きでその指で今度は腕を後ろに回し、少しツン、と突きだしたお尻の穴に手を伸ばす。

「…んぅ……」

中指を爪が埋まるぐらいまで入れると、ゆっくりとこねる様に動かして入り口を解していく。その間、空いた人差し指で、お尻の穴から玉袋に至るラインの途中、会陰部と呼ばれる個所をグリグリと圧迫する。奥底から焦れるような鈍い感覚。勃起をいじるようなダイレクトな性感ではなく、マッサージの気持ち良さに近いだろうか。それでも、いけない場所を使ってHな事をしているという背徳感が、徐々に妖しい興奮を呼び起こしてくる。
 肛門付近がある程度柔らかくなると、お尻から中指を引き抜いて、汚物が付着してないか、確認を取る。幸いにも汚物は付いていなかったようで、ひとまず安心したように息を漏らす。…そして、脱ぎ捨てた服を取りに行こうと脳を働かせ、薄暗い部屋の中をキョロキョロとしながら、鏡の前を後にしただろう。

「……こ、今度、大きなバイブとローションを買って、お尻の穴に入れて挑戦してみようかな…」

ボロボロのベッドに脱ぎ捨てた上着をきながら、少年は次のオナネタを考える。今回自分でお尻を少し弄った時になんだかイケそうな感覚を覚え、同時に普段自分が弄らない、全くの未経験の快楽に興味が湧いてしまい、今日はそのことを考えながら、布団の中に潜り込み、寝ようとしただろうか。……結局、その事が気になりすぎて、完全に寝付くのに暫く時間がかかってしまったのは、誰も知る由のない話である。














みるふぃゆさん (71w3bzyu)2019/3/28 23:17削除
へんたいよくできました
返信
返信1
⚪︎さん (71wdbpxn)2019/3/24 02:46 (No.11628)削除
バッタ


正義について考えたことは何度もある。
だがどんなに考えても答えが出たことはない。何をもって正義とするのか、何が正しいのか、何が間違いなのか。
そもそも悪とはなんだろうか?人に迷惑をかけたら悪なのだろう、だがそれが仮に生きる為の唯一の術なのだとしたらどうだろう。
何かしらの事情で犯罪に手を染めるしかないなら、それは正しくないと言いきれるだろうか?


「……ふぅ」


一度思考を切り、息を吐く。
きっとこの考えに答えはないのだろうなとは思うのだ。
善悪なんて立ち位置で変わる、自分で正しいと思っていても、他者から見たらそうではないことは多い。
理解はしてる、だが俺は"正しく"ありたい。
だから、答えがないとわかっていても正しさや善悪について考えることを止めることはできなかった。






それからもずっと考え込んで、正義のヒーローというのは人の為に実行できる何かがある者がようやく名乗れるものだと思った。
言葉に出すだけじゃ何も始まらない、何も変えることはできない。
例えば貧しい人に何かを与えようにも、与えるものがないとどうしようもないんだ。
裕福さが要る、物を与えるのも何かを食べさせるにも先立つものがないといけない。

……生憎と俺にはそれがない。
力も、地位も金もない、人に何かを与えることができない。
強くなるためにも、金を稼ぐためにも魔物を倒さなくてはいけない。
だがそれは良い行いだろうか?
住処を荒らし、切りつけ殺していくのは、良い行いではないだろう。


「……」


……だが、正しくないとしても俺は、力をつけるためにも探索には出なければならない。
正義ではないとわかっていても、それしか力をつける術がないなら、やるしかない。
家族や大事な人に何かあった時に、助ける力がないとどうしようもない。


結局のところ、自分と自分の周りのことしか考えられてないのにここで気がついた。
綺麗事を並べても、結局言い訳を並べて罪の意識を濁しているだけ。
魔物を殺しても、胸を痛めたことはあっただろうか。
"かわいそう"、"殺したくない"そう口では言っていて、いざ殺した後になってその魔物たちのことを考えたことはあっただろうか?
ない、ないのだ。
ベリーを探すのに思考が変わったり、彼女が本当に幼馴染なのか知りたかったりして、魔物を殺したことに対しては何も考えてない。
仮にあったとしても、罪悪感や罪の意識から逃げるために言い訳を並べて目をそらしていたのだ
相手から攻撃してきた時だけ反撃するのだってそうだ、俺はそうすることで納得しようとしていたんだ、"仕方のないことだ"と思おうとしていたのだ。
それを自覚した、思考した、見つめ直した、だけど俺は

きっと、辞めることはないのだろうと考えた。
矛盾している、正しいことをしたいと考え、今の自分が正しくないことを自覚して、でも辞めようとは思えない。

力が欲しいから
いずれ正しいことを成したいが故、正しくないとわかっていてもやる。
家族や大事な人を守るために力をつけなければならない。



「……このことを、誰かに話したらなんと言うだろうか?」


例えば幼馴染の彼女に話してみたとして、俺のこの感情をどう思うだろう?
"間違えてない"と言うだろうか、"歪んでいる"とストレートに言ってくるだろうか、それとも受け止めた上で否定するだろうか。
わからない、わからないが……本当に言う勇気はない。
彼女だけじゃない、家族にだってこんな自分の心境を明かすことはできないだろう。
親しい人物に矛盾を指摘されるのが、怖い。軽蔑も、偽善者と言われることも恐ろしい。
どうしようもなく、死ぬことよりも恐ろしい。
この考えは自分の中だけに秘めておく。



「……今日のところは考えるのをやめにしよう」


善悪について考え、自分の気持ちを見つめ直し、歪んでいることを自覚した。
結局善悪について答えらしい答えは見つからなかったし、自分の歪みについては自覚しても辞める気はない。
そしてこのことを誰かに話すつもりもない。
それが今日考えたことのまとめだ。


そして、最後にわかった事は。
自分は正義の味方を名乗るには何もかもが足りていないと言う事実だ。
思想も中途半端、力も財もない。
口だけの男だと自覚したのだ。
……強くなれば、いつかは、残り少ない寿命で死ぬまでには、死ぬ頃には。
自分は、正しくなれているのだろうか?正義の味方を名乗るのにふさわしくなれているのだろうか。

いや、強くなれたとしてもした事は変わらない、ならば一生自分は、正義にはなれないのだろう。
だけど、なれないとしても自分は。
正義の味方を、目指していきたい。
一生届かないのだろう、一生夢を見て現実になることもなく終わるのだろう。
それでもこの想いを捨てる事はできないから、正しくあろうとすることをやめたくはないから。
きっと、ずっとずっとこの身が朽ちてなくなるまでずっと、こうして思考して自分の醜さを自覚してそれでも尚夢を見続けるのだろうと、窓の外で遠く遠く輝く星を見て感じていた。
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ユッ公さん (727hj2by)2019/3/24 00:36 (No.11625)削除
「んっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

 たとえば、入り口のほう、とか…

「んっ」

 ぴくん、ぴくんと体がはねる。頭の中がぴりぴりして、もう、上手く働いてない。

 ――いけないことをしていると、思う。 

 おとうさんとおかあさんが居なくなってからか。ボクが、独りになったときから、"これ"をたまにするようになった。嫌なことを忘れることができるような、心身ともに癒してくれる薬のような、ボクの秘密の慰めだった。

「はぁーっ・・・はぁーっ・・・」

 ボクの匂いがするシーツを、足に絡めて、抱きしめる。ボクの、大事な場所は柔らかくて温かくて、隙間ににゅるっと、指先が抵抗なく埋まっていく。ざらついたところとか、入り口の付近の固いところをこすったり、押したりするたびに、踊るような快味にボクの鼓動はますます高鳴っていった。まるで、ボクの体の中で火が灯るように熱い。

「しら、しらないっ・・・これ、いいかもっ・・・」

 家に誰もいないことをいいことに、ボクは声を漏らしていた。ぶるりと、知らなかった快感の発見でお腹の奥をきゅんとさせた。それでボクを濡らす熱を持ったぬるりとした粘液が、指だけじゃなく、手首にまで浸食する。腰がふわふわして、なんだか自分のこともよくわからなくなって――頭、真っ白になって…

 指の動きが、もっと、もっと次の快楽を誘って、そう急かす。ぬちゃ、ぬちゃ、シーツとボクの服がこすれる音、ボクの息、そして官能的な水の音が部屋にさみしく鳴る。

「はぁっ、ひゃ、いや、なのにっ・・・だめなのにぃっ・・・ぁ、ぅ」

 シーツに入る力が強くなる。何かにつかまってないと自分の体が飛んで行ってしまいそうだった。陰核をくりっと指の腹で撫でるにつれ、陰核を舌で刺激されるたびにお腹の奥で熱いものが膨れ上がっていくようで。太ももが自分の腕をぎゅっと挟み込む。

「やっ、だぁ・・・だめだめっ・・・」

 指で陰核をくるんでいた皮をずらして直接捏ね回す。強すぎる刺激に目の前で白い火花みたいなものが飛び散る。ボクのお腹の奥が、切なく疼いた。

「きちゃぁ、らめなのっ、くるぅ・・・っ」

 下半身に力が入る。なんだかはじけ飛んでしまいそうな感覚に、足の指を丸めて耐えようとするが――

「いっっ・・・ひゃあっ」

 箍がはずれたように、お腹奥で渦巻いていたものがとつぜんはじけた。腰が激しく跳ね上がり痙攣する。同時に身体中から力が抜けていく。熱が全身にじわぁっと拡がって行く。目の前がちかちかして、熱がなかなか覚めなかった。むしろ余計昂っている気がした。

「はぁっ・・・ふぅー・・・ふぁふぁ・・・また、しちゃった・・・」

 余韻が残る。快楽とは、麻薬のようなもので、寂しいような、幸せのような、嬉しいような、しかしそのどれも違う漠然としたなにかを、認めるしかない代物だ。ボクは、これで誤魔化したかった。この昂ぶりの熱で、なにもかも溶かして、忘れてしまえば、ボクは・・・

「ボクは全知全能だから・・・またしても、許されるな・・・大丈夫・・・大丈夫だもん・・・」

 また、熱の籠る指で、ひくひくとしている割れ目をなぞった。まだ、夜は長い。
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プリンさん (71z5trj1)2019/3/18 04:47 (No.11131)削除
【プリンシプルズという女】
※普通の過去回想です



「母さんと父さんは、とても普通のヒトだったよなぁ」
土の街、隅にひっそりとある墓地、風に揺れる墓花を眺める。本当なら日の街に移り住んでいた両親は日の街の墓地で眠る筈だったんだけど、両親は土の街に思い入れがあったから、親戚に無理を言って此処に埋めてもらったのだ。だからあたしは三ヶ月に一度、こうして土の街の墓地にやって来る。今思えばこうしてよく土の街に来ていたのに、彼とあれから出会わなかったのはとても滑稽だ。
墓標の前、あたしはぼんやりと幼い頃の思い出の頁を捲りながらも呟いていた。別になんてこともない呟きでいて、自分がこうした人間になる為に大事だった要素を含んだ呟きだ。両親が普通のヒトだったことは、あたしの人格形成に少なからずきっと関わっているから。きっと今あたしが普通のヒトに紛れ、普通のヒトに擬態しながら生き長らえていられるのは、きっと両親のお陰なのだ。普通を知っていたあたしは、普通に成りきれるということだ。だって知らないものにはなれないもの。
両親は普通にあたしを叱り、褒めて、友達と遊ばせて、勉強と趣味をさせてくれた。そうやってのびのびと元気に育ったのがあたしだ。もしかしたらそれは恵まれていて、普通より上の生活だったかもしれない。でも、あたしからして見れば両親自身は常識的でしっかりしてる、世間的に普通のヒトだったと思う。だからこそ、あたしはきっと今のあたし、ちょっと歪なのを隠せるあたしだ。
「……あたしさ、二人と行った緑のある場所が好きだった。徒歩で頑張って、橋を越えた先にあるキラキラの緑が大好きだったんだ」
母さんと父さんがしてくれたことの中の、大事な一つだ。今でも草原を探索していて緑を素晴らしいと思えるのは、きっとその所為だろう。あたしはまた記憶の中の頁を捲って、幼い眼に焼き付けた一面の緑色を頭に再現する。
青々とした葉とか、生い茂る草木とか、一面に広がってサラサラと音を立てる草原を見るのは、土の街の住民からするとかなり難しいことだった。外に出る為には徒歩で長い間歩かなくちゃいけないし、砂漠は昼は暑いし夜は寒い。そもそも何をするにも問題が立ち塞がってしまう、そんな街だった。
それでも両親は少しだけ成長したあたしを、幼馴染みとその両親も一緒で草原へと連れて行ってくれたのだ。その道は過酷であまり思い出したくないくらいだけれど、その道程があってこそ太陽の下のあの自然は輝いて見えた。あたしと幼馴染みは夢中で草原の上ではしゃいで、転げ回って、身体中で草の感触を堪能して草の匂いをいっぱい嗅いだ。その草原で幼馴染みの彼が高く高く飛び跳ねたのは、幼い自分にとってとても格好良くて感動してしまって、今でも鮮明に記憶に残っている。そうやって楽しく過ごした思い出があるからこそ、今のあたしは形成されている。思い出すと両親が少し恋しくなり、頬が濡れる感覚がする。
「……あ、雨。マジけー、なーんの準備もしてないや……」
それは涙なんかじゃない、ただの雨だ。そりゃあ当たり前だけど。何てったって、あたしはそんなに簡単に泣くような女ではないからだ。それは兎も角あたしは雨宿りが出来る場所を探す。少し見回せば傍に休憩所があり、屋根がある其処にあたしは入ることにした。雨のぱらぱらという音が次第に強くなっていき、すぐに地面は雫で濡れて色を変えていってしまった。
嗚呼、恋しくなって思い出した。両親が亡くなって、日の街から金の街へと移り住んだ頃の話を。あたしの記憶の頁は勝手にペラペラと数枚飛ばしで捲れていって、勝手に脳内のあたしは沢山の親戚を眺めていた。皆種族がごちゃごちゃで姿形が違うけれど、とても仲良しな血の繋がった家族で。その大好きな皆が皆泣いている状況と、棺に入った母親を見下ろしてあたしは呆然としていた覚えがある。本当に、あの時はどうして良いか分からなかった。父さんが亡くなったのはショックだったし泣いてしまったけれど、母さんがそれを追うかのようにすぐに亡くなってしまった時は、悲しさよりも困惑や安心感、それから将来の自分や今までの両親との思い出でいっぱいだった。最初は困惑だ、まるで後を追うみたいだったから。その次に安心感だ、あたしは父さんが亡くなってからまるで時の流れが速まったみたいに老いて衰弱していく母さんを、目の前で見ていたから。最後に将来と今まで、どうなるか分からず不安な将来と思っていた以上に大事だった今までと、一気に直面してしまったからだ。
今思うと、あれを乗り越えて金の街に移り住んだあたしを褒めてやりたい。あの頃は兎に角必死で、取り敢えず自分の道を突き進みたくて、自分の夢を叶えたくてどうにか移住したけど、冷静に考えるとよくあんなことが出来たと思ってしまう。移住だけでも大変なのに、その移住先があの金の街なんだから。
「金の街、日の街に比べれば頭可笑しいよなぁ……。でも馴染んじゃったのは、あたしが必死だったのか、それとも」
記憶の頁は今もゆっくりと物語を進めていくように捲れていくけど、雨はまだまだ止まないようだ。それはこの雨が長いのか、記憶の頁を捲るのにそう時間がかかっていないのか、一体どっちなのだろう?今あたしはあの便利な改造メガネを着けてなくて、時間を確認する術を持っていない。だからこの疑問の答えは今この場で出せぬまま、記憶の波と雨の優しい音に流されていく。
代わりにあたしの記憶の頁から蘇ったのは、改造屋になってからの記憶だった。また少し記憶の頁を飛ばしているのは、きっと金の街に移住してから暫くは思い出すような思い出がないからだろう。だって金の街に移住してからすぐは、何にもさせてもらえなかったから。最近になってあたしはようやく店を開けるようになったし、娯楽に勤しむことも出来るようになったのだ。それくらいに規則や制限の多い街だ。あの街の住民の性質上、仕方ないのかもしれないけれど。
記憶の中のあたしの目の前にいるのは、色んな姿をした様々な身分のお客さん。十人十色という言葉があるように、修理や改造したいモノもお客さんによって十人十色だった。そして、そのモノに纏わる記憶や思い出も、同じように十人十色。誰一人として同じ人なんていなかった。
その中で特に記憶に残っているのは、身体を改造してでも妻と添い遂げたい男性だった。あたしには結構難しい依頼だった。あの頃のあたしはまだまだ生物学とか医学とかよく分かんなかったし、人体の改造は未熟だった所為で。でもあたしがやり遂げたらあの男性は嬉しそうにしてくれた。『寿命差が縮まって、もっと妻の傍に居られます』と言われたのは一字一句も忘れていない。あの姿と表情を見て、あたしは老いていく母さんを思い出してしまった。この大陸には種族が沢山存在して、様々な種族が交流を経て交わり合っていく。だからこそ寿命差もよく問題になる。母さんと父さんも違う種族だったから、こんな気持ちだったのかと勝手に想像してしまう。普段はそんなに他人の気持ちだなんて考えないのに、あの時はとても悩んでしまったのはきっと、それがあたしにさえ存在する感情だったからだろう。
今でこそあたしは理解しているが、あたしは幼馴染みをずっと生き長らえさせたいと考えていた。離れてしまってから暫くは見失っていたけれど、その時あたしは思い出した。あたしがこうして改造に凝っているのは勿論改造が好きなのもあるが、幼馴染みの彼をどうにか出来る秘訣がこれに眠っている予感がずっとずっとしていたのだ。彼と一緒に死にたいという人生最大の欲望を叶えられる何かが、ずっとその奥深くに眠りについている気がしていたのだ。あたしは形はどうあれ“もっとずっと一緒にいたい”、“出来ることならば朽ち果てるまで傍に”、という願いを沢山この眼で見てきた。それらの強い感情が、想いが、人面獣心なあたしの記憶の頁の中にずっと大事に挟まれていたメモを取り出したんだ。そしてあたしは、それから少し変になってしまった。命を永く永く遠くの未来まで生き長らえさせようとすればする程、ぐにゃぐにゃに歪んでいった。だってあたし、形は違うにしても、簡単に命を延ばしてしまうんだもの。命の価値を、地に堕としているんだもの。
「……馬鹿みたいな物語だ。あたしって録な人生歩んでねーのな」
目を閉じる。それと一緒にパタリと閉じられた記憶のアルバムの上に、もう忘れないようにメモを貼り付けた。口をついて吐き出した“録な人生を歩んでいない”なんて言葉は、図らずも二重の意味を含んでしまう。だってあたしには素晴らしく讃えられるような過去も無ければ、皆の同情や憐憫を集められるような凄惨な過去もない。言ってしまえば、とてもつまらない。あたしはつまらない人間だ。その上最悪最低な欲望を持ち、自然の摂理に抗い続けて、大事なモノを醜く歪めてまでもエゴの為に突き進む女だ。こんなあたしを擁護しようとする輩がいたら、あたしはソイツを鼻で笑ってやるだろう。それ程までに、否定のしようがない程もうぐちゃぐちゃな存在だ。混血だから、ある意味間違ってない?……なんてね。
思い出の旅を終えてふと空に目をやれば、やっと雨は止んでいた。まだまだ雲は厚いけれど、隙間から射す太陽の光が眩しくてあたしは目を細める。まるで最近思い出す時間がなくてあたしの思い出にかかっていた雲が、ゆっくり取れていくみたいに今は思えてしまう。単なる偶然だとは理解しているし自分なんかにお天道様は微笑まないとは思うけど、こんな時くらいは都合の良い解釈をしたってきっと許される筈だ。
あたしは暫くそうやって空を見上げ続けた後に、荷物を片付ける。もう過去を思い出すのはお仕舞いだ。思い出しても虚しいだけで、考えても自分の馬鹿馬鹿しさに笑えてくるだけだと分かったから。全てが終わればもう一度墓標の前に立って、バイバイと小さい頃のように手を振ってみる。嗚呼、母さんと父さんがあちら側で仲良くしていたらいいな。暫くしたらあたしも“二人”で行くからさ、待ってて欲しいなと祈ってみる。届いていても、届いてなくてもきっと何も変わらない。
あたしはプリンシプルズ=リ=フォーム。あたし自身の“改造の理念”に基づいて“輪廻転生”を可能にする女だ。
みるふぃゆさん (71jubojl)2019/3/21 09:34削除
シリアス系もたまには良いなあと思いました、ジムノペディ第一番聞きながら読んだらもう、感情がもう。←
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亜月さん (718jw724)2019/3/16 15:48 (No.11032)削除
【自慰ネタ/♡喘ぎ/淫語/控えめののエロ(当社比)】


それがあったのはたまたまだった。そして彼がいないのも、きっとあのタイミングで入ってきたのも全てのたまたまだった、のだろう。

2人で暮らしている家。鈴鬼に用事があって個室を尋ねたが鈴鬼はおらず、衣だけが放ってあった。

「こんなところに置いておいたらシワになるじゃないか……まったく。」

彼女はしわしわになる前にとそれを拾いあげれば、洗濯に持っていこうとする。或いはクローゼットの中へと仕舞おうとしたのかもしれない。
…が、魔がさした、というべきなのか。ふわりと漂った鈴鬼の匂いに惑わされたというべきなのか。それとも。

「…っ、」

彼女は衣をそっと羽織り、そのままベッドへごろりと寝転がった。
当たり前だが、鈴鬼の匂いだ。それを羽織ればまるで本人に包まれているような感覚。

あの暖かい体温も、ぎゅっと抱きしめてくれる腕もないけれど、それだけでも十分だった。─彼女の熱に火をつけるのは。

熱に浮かされた彼女は起き上がり、するするとスカートを脱ぎ捨て、床に落とす。
上も邪魔だ。全部脱いでしまえ。
全ての衣服を脱ぎ捨て、また鈴鬼の衣を羽織れば既に愛液でぬめった性器に手を伸ばす。
小さく勃ったクリトリスをぐに、と押しながらゆっくりとナカへ指を進める。

ザラザラとしたGスポをすり、と指先で擦りながら、クリトリスを擦りながら鼻をすん、と鳴らせば鈴鬼の匂いが広がって、脳内は瞬く間に与えられる快楽と行為を認識する。

ぐり、と乳首を摘めば心做しかじぃん…と痺れて気持ちいい。
そのまま遊ぶようにくにくにと指で弄って、時々ぐっと先端を押し込む。ぎゅう、と強く掴んで歯をたてられるのを連想して爪をたてた。
鈴鬼の口内で突起が転がされて、チュウチュウとまるで赤子のように吸われる。そう想像するだけで熱い吐息が零れる。

好きだ。彼がたまらなく好きだ。
抱いて欲しい。優しくでも手荒でもいい、彼に抱かれたい。
普段は理性で抑えている淫らな欲望が溢れる。

今指が入っているこのナカに鈴鬼のモノが入って、欲望のままに腰を振られる。
そんな妄想をしただけでも息は荒くなり、きゅんきゅんと膣内は指を締め付ける。これは鈴鬼の指じゃないのに。

段々と彼女の指使いは激しくなって、ついには四つん這いの状態で腰を上げる。
まるでバックで抱かれているような体勢に一人興奮しながら表情をとろけさせていく。

「ふ、ぅ…れい、き、れいき、ぃっ!もっと奥、おくにほしいのぉ…たりない、ゆびじゃ、ッ♡れ、鈴鬼のがナカに、あッあ、擦れて、♡とまんなっ…!♡」

ついに堪えきれなくなった声は願望を口走りながらその端からねばついた唾液をこぼす。
彼女のその喘ぎ声は部屋にぐちゅぐちゅと下腹部から淫らな水音と共に響く。

菫色の瞳を生理的な涙で潤ませ、かくかくと腰は揺れる。
性器を擦る手は止まらなくて、濁った愛液がとろとろと溢れ出し太ももを伝う。

視界がチカチカと瞬いて、脳が快楽のことしか考えられなくなって、身体が熱くなって、そしてよく知る絶頂の感覚が迫ってくる。

「イく、イっちゃ…っ!お"っ、あ"ッあっ♡イッくぅぅ…っ!!♡」

がくんっ、と大きく腰が揺れてぶるぶると足が震える。
脳内に広がるじんわりとした快楽と疼くのが収まらない子宮に、なんでなんで、と馬鹿になった思考が駄々をこねる。

鈴鬼の、あの太くて熱いモノが欲しい。
ガンガンとGスポを突いて、子宮口をこんこん、と叩いてナカに精液をたくさん注いでほしい。 そしてそれを自分の子宮はごくりと飲み込むのだ。

─鈴鬼との、子供を孕みたい。

それは誰もが持っているであろう欲望。愛おしい人と自分の遺伝を残したいとういう本能。
タガの外れた思考で欲望を見出してしまえばそれは留まることを知らずに溢れ出す。

この子宮の中に愛おしい人の子種が入って、自分の卵子を追いかけ回してそして犯すのだ。
それはなんて甘美なものなのだろう。

快楽はじゅぷじゅぷと脳を犯して、そして彼女を狂わせる。
現に、一度イったのにも関わらず指は性器へと伸び、再び快楽を貪る。
自慰行為は止められなくて水音も喘ぐ声も大きく、大胆になっていく。気持ちいいのがいけないのだ。決して、自分が耐え性がたい、とか淫乱なわけじゃない。

自分自身では止められないくらいに興奮していた。
ナカは相変わらず鈴鬼がほしいと言いながらきゅうきゅうと指を締め付けて離さない。

鈴鬼が欲しくて堪らなくなって、不意に彼女の冷静な部分が考えた。

出かけていたとしても、そして時間的にもそろそろここへ来るのではないだろうか…?
そう考えた矢先、ガチャリと開いた扉。
その向こうに驚いてる鈴鬼を視界にとらえれば冷静な部分も消え去った。彼女は頬を紅潮させ、そしてトロけた表情のまま言うのだ。

脚を、所謂M字開脚に開けば性器をくぱり、と指で大きく広げ、本能のままに、欲望のままに誘うのだ。

「鈴鬼……っおねがい…ここに、さくやのおまんこに、れいきのおちんぽ挿れて、たくさん精液を注いで、孕ませセックスしてください……ッ♡」
みるふぃゆさん (71jubojl)2019/3/21 09:33削除
どすけべ!!!!!!亜月先生の次回作に期待!!!!!!
イク直前の「お"っ」ってトコ、めっちゃしゅき!!!!!!
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2019/3/14